2012年04月30日

がれきの広域処理について ― 琉球大学名誉教授 矢ヶア克馬

がれきの広域処理について ― 琉球大学名誉教授 矢ヶア克馬
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/5dc1a51cd79d24f494f3bfaff8dead47


(1) 拡散してはならない、燃やしてはならない

放射能に汚染された物は「拡散してはならない、燃やしてはならない。」
これが人間の命と環境を保護する鉄則です。

@汚染されたがれきを汚染地域外に持ち出すと、いのちに危害を及ぼす地域が広がるから持ち出しはしてはいけません。原発では放射性物質を「封じ込める」ことに務めていたはずが、いったん爆発して外に出ると「拡散させろ」は如何に無見識で乱暴な行為であることでしょう。

A焼却処理すると2次被害を作り出します。

瓦礫に放射性物質が付いているままでは直接的に2次被害は及ぼしません。折角、吸い込んだり食べたり飲み込んだりできない状態でいる瓦礫を、燃やすと吸い込んだり食べたりできる姿に変えてしまいます。放射性微粒子が空気中に広がったり、残灰が再利用されて生活の場を被曝したり、田畑にまかれたりすることになります。焼却という2次被曝の操作をしてはならないのです。 このような意味で、がれき広域処理は、いのちを守るための鉄則を破り、国や行政が決して行ってはならない「市民の健康を傷つける可能性」を開き、強制する行為です。誠意と配慮に欠けた最悪の処置です。


(2) 汚染地帯のがれきは汚染されている

政府が宣伝する「汚染されていない瓦礫だけを処理する」というのは事実と違います。 対象となっている宮城・岩手は高度汚染地域の中です(文科省汚染マップを見るとすぐわかります)。放射能汚染地帯にある野積み瓦礫には放射性物質が必ず入っています。 実際は汚染されているのですが、ある限度以下の汚染は「汚染されていないとみなす」というからくりなのです。

「汚染されていない」という表現は、市民をだましているといえましょう。

政府はこれまでの100ベクレル/キログラムの放射能汚染物処理基準を、突然8000ベクレル/キログラムまで釣り上げて、「安全に処理できる」と、法律も何も作らずに勝手に決めていますが、とんでも無いことです。誰に対して安全なのでしょう。 加えて汚染は放射能だけではありません。アスベストや他の毒物・劇物が含まれています。専用処理施設が必要です。


(3) 万が一受け入れが決まってしまうと?

1.客観的にみて、放射能汚染、アスベスト汚染に対応する焼却炉を作らねばなりません。放射性物質の主成分はセシウムです。セシウムの沸点は低く640℃ほどで、燃焼温度の800℃では完全に気体状態になります。とくに問題なのは蒸気圧が高く、通常のバグフィルターの通過ガス温度約200℃でも100パスカル(1000分の1気圧)ほどの蒸気圧があり、かなり大量に空気中に漏れていきます。

一方、アスベストは溶融処理する必要があり、アスベストの融点は1521℃ですので、800度程度の燃焼温度では溶融できません。汚染ゴミは通常の家庭ごみに混入して焼却されることが計画されているので、放射能汚染とアスベスト汚染の二つだけでも、安全な汚染処理はできません。

2.運搬・分別・焼却等作業員の安全のためにきちんと汚染防護をすべきです。
3.放射能に対しては、入口、中間、出口での計測設備を設ける必要があります。
4.処理を終了した時に施設の内部も清掃処理しないといけません。
5.灰の処理、溶融金属等の処理、最終処理施設等々、安全対策を施す、あるいは今までの処理方法を変更する必要があります。


(4) 子孫や地球に恥じない支援―汚染の無い地域を保全することが基盤―

市民の「被災地の皆さんの力に何としてもなりたい」、という気持ちは尊いものです。しかし、「広域がれき処理」への協力はしてはいけません。「放射能汚染を拡散してしまう協力」は、将来にわたって子や孫に危害を及ぼす危険を導入することです。人類の安全という観点からは愚かな行為です。

被災者と非被災者の両方に、本当の利益を生み出す人道上に恥じない支援」をすることが大切です。そのために、

@これから何十年も継続する汚染地獄を、日本として耐え抜くためには、汚染されていない西日本は汚染されていないままに保つことが大切です。

A汚染されていない土地で食糧大増産を行い、逆に、汚染地帯では基本的には食用作物は当分の間作らない。それを実施して初めて日本の市民の食の安全が保障されます。遊休農地がすぐ役立ちます。汚染されていない土地に汚染地域の農家を招きましょう。

B今の基準の100分の1程度の低い基準を「食料品」に適用して初めて“人の健康を守れる基準”という意味合いが出てきます。それ以上の汚染食品については東電が当然補償すべきです。こうした基準で初めて農家の方が「おいしく無害な食品」ということで、胸を張ることが可能です。消費者も生産者も共に被害者です。両立して健康を防護できる基準を確保しましょう。

C避難者の支援や、保養の機会や場所を提供するなど、非汚染地で無ければ実施できないことを行うのが、非汚染地の務めです。市民は正道に立つ支援を実行しましょう。 「広域がれき処理」のような国際的ルールを踏みにじる乱暴な、本質的支援で無い「支援」は行ってはなりません。


(5) 棄民政策の数々:日本はとっても野蛮な国になりました!

政府は原発爆発以来、どのようにして市民を守ってきたのでしょう? まず、汚染物処理基準はどうでしょうか?

@以前は、汚染処理基準を100ベクレル/キログラムとしていました。事故の際に突然それを8000ベクレル/キログラムに釣り上げました。さらに管理処理できる場合は10万ベクレル/キログラムまで引き上げました。

A公衆(一般市民)の年間被曝限度(これ以上被曝すると政府の責任で防護しなければならない基準)を、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに釣り上げました。「日本人は事故の時は放射線に対する抵抗力が20倍になる」のでしょうか?

Bチェルノブイリ周辺国(ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)は、住民の保護基準を年間1ミリシーベルトで「移住権利(住んでいても良いが移住し世と思えば、国が保障する)」、5ミリシーベルトで「移住義務(危険だから移住しなければならない)」地域に設定しています。

日本のこれに相当する基準は何と20ミリシーベルト(計画的避難区域)および50ミリシーベルト(避難区域)です。日本の住民はチェルノブイリ周辺国より20倍も放射線に対する抵抗力が高いのでしょうか?とんでも無い。ひとえに、東電の賠償責任を軽減することと政府の責任を軽減するためだけなのです。

C同様に食物の放射能汚染限度値は500ベクレル/キログラムと極端に大きな値を設定されましたが、ドイツの100倍の程の高さを設定しているのです。日本政府は「基準以下ならば安全」と宣伝していますが、そうではありません。

汚染食品を食べることにより、チェルノブイリ周辺では大量の健康破壊が起きています。チェルノブイリ周辺では「貧しいがゆえに人々は汚染地帯の産物を食べざるを得なかったのです。現在日本では、政府の強制によって汚染食品を全日本人が食べさせられています。

D爆発直後、安定ヨウ素剤を政府は蓄えがあるにも拘わらず与えませんでした。

何ということでしょうか!人の命は切り捨てられ踏みにじられているのです。

これらの措置は、人の命と環境を守るためでしょうか? 全く逆に、市民の生活の場に汚染被曝を強制し、人の命と環境を犠牲にして、東電と政府の責任を可能な限り少なくし、政府の無策を人々の犠牲で補おうとするものです。市民が自らの命を守るためには、知恵をつけ力を合わせ、このような国のあり方を変えなければなりません。


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原子力委再試算 「脱原発」が最安 揺るがず

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012042802000095.html
東京新聞より。

原子力委員会の小委員会が二十七日に示した核燃料サイクルのコスト再試算の結果は、原発に依存し、使用済み核燃料は再処理して再利用する現行の施策は割高だと、あらためて印象づけた。

 前回の試算では、核燃料を地中に埋めて処分する直接処分のシナリオだけに、再処理事業中止に伴う費用が加算されている点などが委員会で問題視。そのため、事業中止費用の一部は除外した上で、三百年にわたる放射性廃棄物の管理も考慮した費用を算出した。

 シナリオは(1)全ての使用済み核燃料を再処理(2)全てを直接処分(3)両者の併用−の三つ。これに総発電量に占める原発の比率を、脱原発を意味する0%、現状よりやや原発依存度が低い20%、現状以上に依存度が高い35%の三つの場合を組み合わせた。

 より長期の費用をはじいたため、どの組み合わせも前回の試算より大幅に金額がアップした。

脱原発.jpg


 しかし、結局は二〇二〇年までに原発をゼロにし、その時点で残っている使用済み核燃料を直接処分するパターンが最安(八・六兆〜九・三兆円)との結論は揺るがなかった。

 それどころか、再処理をからめる限り、原発依存度がどの程度であってもコスト高だとより鮮明になった。前回試算の額に比べ、直接処分は一・三倍前後になったのに比べ、再処理をするシナリオはどれも二倍近くにまで膨れあがった。

 今回の試算結果は、今夏の新たなエネルギー施策の方針づくりに生かされる。
posted by ぱわふる at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脱原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鷹取敦さん(環境総合研究所)広域処理の「必要性、妥当性、正当性」について

http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-11236859426.html

「どうする?!震災がれき処理」グリーンズカフェ東京 報告
4.27 2012 @みどりの未来事務所

鷹取敦さん

広域処理の「必要性、妥当性、正当性」の三点についてパワーポイントを見ながら話したい。

「必要性」

被災地にあるがれきの写真が環境省のPRに使われたが、がれきの一部だけをズームアップすることで被災地全体があのようながれきに埋もれているかのような誤った印象を与えている。

宮城県では石巻が他地域と比較して特に多いので課題であるのは間違いないがが、全体的に見て3年後という処理期間を少し延長すれば、石巻以外の処理施設に空きが出るので現地処理できる部分が増えるはず。国が2年間しかお金を出さないと決めているから3年以内という期限があるだけで、国が一方的な選択肢を示すのではなく、財政的な支援を行い自治体の自主性に任せて現地の実情に合った処理方法を尊重した方がいい。メディアには国から広報のためにH23には9億円、H24億円には15億円のお金が投じられており、報道も広域処理が必要だとの論調一色である。例外的に東京新聞の一部の記事ではきちんと問題提起をしている。

「妥当性」

焼却は課題。国のデータではバグフィルターを通せばNDになっているものが多い。検出下限値が2ベクレル/立米で16〜32分だが、サンプリング、カウント共に長く、下限値を低くすべき。一方、電気集塵機を使ったプラントではセシウムが検出されている。それにも関わらず国のガイドラインでは電気集塵機を使ったプラントでも処理していいことになっている。これで国民の信頼を得られるだろうか。

最も問題だと思っているのが飛灰や焼却灰を埋め立てた時の浸出水。これは国の検討会の資料でもセシウムの多くが浸出水に出ること、浸出水処理施設では除去されないことが指摘されている。それなのにふつうのごみと同じように埋め立てることができ十分な対策が取られていない。

管理型処分場からの浸出水にほとんどセシウム等放射性物質が溶け出てしまうのではないか。
横浜でゼオライトを使ったら、1Kgの中に5000ベクレルの濃度が5500Kg捕促され、2750万ベクレルを吸着できた、しかしなぜかその後ゼオライトでの処理をしなくなってしまった。なぜか?

水産庁の魚の測定グラフから読み取れる事は事故当初の表層での高濃度はなくなりつつあり、現在は低層と淡水魚は平均で4月以降の食品の基準値である100Bq/kg前後と高い水準であり課題となっている。その他の魚なら産地さえ注意して選べばよいのではないか。

次に、これは今年4月17日の広域処理基準でパブコメなし。
入口240ベクレル/Kg 焼却灰で8000ベクレル/Kg
しかし、浸出水は考慮していない。「溶出」について言及するも、対策なし。
処理施設の作業員は7日に1回の調査だけではなく積算線量計によって外部被ばくを把握しておいた方がよい。

「正当性」

がれき広域処理の要請に対して手を挙げている自治体を見ると、廃棄物処理場を持たない、過去に処理の経験をしていないと思われるところが多い。多摩市長が広域処理問題の学習会に参加された時に話したが、東京都知事が受け入れと言ったので、不本意だが受け入れざるを得ないとおっしゃっていた。法的拘束力もないのになぜかわからない。多摩は革新系の市長であるにも関わらず。基礎自治体の権限が危うい。
※ 参照
http://eritokyo.jp/independent/takatori-fnp0016.htm

特措法制定までのプロセス、会議も議事録も非公開だったため、1〜4回まで開示請求をして開示させた。しかしその後は議事録を開示請求すれば議事録を作るのをやめ、会議録音を請求すれば録音するのをやめていた。細野大臣は参議院予算委員会で隠すつもりはないと答弁したがあきらかに隠している。また大臣は4回までは公開していると答弁したが4回までは私の開示請求に応じただけで公開はしていない。その後大臣の答弁に合わせるようこっそりと4回までの議事録だけが掲載された。

※議事録問題については http://eforum.jp/
「災害廃棄物安全評価検討会・ 非公開・議事録問題」コーナーをご覧ください。

鷹取さんの関連推奨記事
http://eritokyo.jp/independent/takatoriatsushi-col1.htm
E-wave Tokyo がれき広域処理
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column-gareki1.htm


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日の出処分場に詳しい立川市議、大沢ゆたかさんの分は、メモからの原稿チェックをお願いしているところですが、お忙しくて添削等ができなくても、一週間ほどで資料整理を済ませた段階では、ご自身のサイトに当日使った資料をアップされる予定ですので、後日リンクをお知らせします。
概要は、多摩地域の焼却場からの焼却灰は、埋め立てではなく「太平洋セメント」で再生セメント=エコセメントと言われるものになるが、太平洋セメントはデータ開示の義務がなく市民は詳細を知る事ができない、などです。

場を作られた「みどり東京」と「グリーンズカフェ東京」のスタッフの皆様、お世話になりました。ありがとうございました。

星川まり
posted by ぱわふる at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | がれき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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