2012年04月26日

【ボクとママの放射能教室】ゼロはこない半減期 セシウム137 120年後も残る

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/kyoushitsu/list/CK2012033102000098.html
東京新聞より。

「ただいまあ」

「お帰り。何、その本。全部まんがじゃない」

「商店街の閉店セールで一冊五円で売ってたんだよ。ブックイフに持ってけば一冊二十円で買ってくれるんだ。全部売ったら百五十円ももうかるよ」

「どっちにしても安いわね」

「お年玉が、もう半分しか残っていないんだ。お小遣いがなくなっちゃうから、稼がなきゃ。三カ月で半分だから半年でなくなっちゃうんだよね。はやりの言葉でいえば、半減期三カ月というわけさ」

お年玉.jpg

「それはちょっと違うな。キミのお小遣いのように放射能が減っていったら、問題の解決は早いね」

「すぐにはなくならないの?」

「ものによって違うのよ。放射性元素の半減期が三カ月ということは、半年たったら放射能が半分の半分になり、一年たったら十六分の一になる。減ってはいくけれど、いつまでたってもゼロにはならないの。一万円のお年玉が、一年後にまだ六百二十五円残っているみたいなものよ。二年後にも三十九円残っているよ」

「ロートンでうまうま棒が四本買えるね」

「それはいいんだけど、福島の原発からたっぷり出てきた放射性セシウムは、三カ月どころじゃなくて、半減期三十年のセシウム137と二年のセシウム134というのが主なのね。だから百二十年たって、キミが長寿世界一のおじいさんになったころにも、セシウム137は、それなりに残っているよ。今の十六分の一くらいね」

「ひええ」

セシウムグラフ.jpg

「セシウムの半減期の長さは、いろいろな放射性元素の中で、中くらいかな。短いのは秒単位で減っていく。長いのは億年単位ね。ここにアイソトープ手帳っていうマニアックな本があるんだけど、トリウム232の半減期は百四十億五千万年って書いてあるね」

「ぎょええ」

「ただね、長ければこわいってものでもないのよ。半減期が長いってことは、ゆるやかに放射線を出し続けているってことでもあるの。キミの体の中にもカリウム40っていう放射性元素が入っていて、その半減期は十二億五千万年よ」

「誰がそんなもの入れたの。それともボクって特殊体質?」

「そうなの。いままで隠していてごめんなさいっ。てことはなくて、カリウム40は世界中どこでも自然界に少しだけあるから、食べ物を通して取り込んじゃう。でも排出もされるから、どんどん体内にたまることはないし、心配することはないよ」

「ふー、おどかすなよ」

「一つ教えてあげる。生物学的半減期っていう言葉があって、十二億五千万年のカリウムも、人体からは三十日で半分が排出されるの。キミが『先生、この元素の生物学的半減期はどれだけですか』って質問したら、きっと…」

「もういい、わかった、わかった」


posted by ぱわふる at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【ボクとママの放射能教室】米作りとセシウム 雪解け水 影響未知数

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/kyoushitsu/list/CK2012042102000158.html
東京新聞より。

 「ただいまあ、ママ、突然だけど、雪国はつらいよ条例って知ってる?」

 「なあに、それ、寅(とら)さんのパクリ?」

とらさん.jpg

 「ちょっと前の社会の教科書に、そういうのがあるって書いてあったんだ。ほんとは雪国はつらつ条例っていうんだけど」

 「そりゃまた歴史に残るミステークねえ。雪国はつらいよ。なんだかいろんな意味で、福島のことみたいねえ。雪解けで山にたまった放射性セシウムが田んぼに流れ込んでくるって心配されてるよ」

 「稲がセシウムをすーって吸い取りそうだなあ」

 「まあね。土に入ったセシウムは、作物にはなかなか吸収されないけれど、水にとけたセシウムは、よく吸収されるらしいね

 「セシウムごはんはあまり食べたくないな」

 「でしょ。去年の秋に収穫したとき、セシウムの濃度がとくに高かったところは、ことしは稲を作ってはいけないことにしたのね。福島県で米作りをしていたところの一割ちょっとは、ことしは作らない。でも問題は中くらいにセシウムが出たところなの」

 「中くらいって?」

 「四月から食品の基準が厳しく変わったよね。一キログラムあたり一〇〇ベクレル以下にしなくてはいけないんだけど、去年のコメが一〇〇ベクレルから五〇〇ベクレルだった田んぼで、米作りをやるべきかやめるべきか、議論になったのよ。食べる方の消費者は心配するし、一方で作りたい人もいる。お役所は困ったから、地元にどうしますかって相談したら、一つの村以外は全部作りたいって言ってきたわけ」

 「大丈夫なの?」

 「条件つきだからね。収穫の後、全部の米袋を検査して、セシウムが基準値以下かどうか、調べることにしているの。どうなるかは作ってみなくては分からないっていう感じね。事故直後のように田んぼにセシウムが降り注ぐことはないだろうけれど、用水からの吸収がどれくらいになるか分からない。田んぼごとに状況は違うしね」

 「そんなお米、売れるの」

稲の移行.jpg

 「消費者の見方は厳しいよ。牛肉に関するアンケートでは、セシウムが少しでも検出された食品は売るべきではないという項目に、半分以上が『そう思う』『どちらかというとそう思う』と答えているの。この前教えてあげたみたいに、セシウムのベクレル数を合計して、十万分の一・三をかけてミリシーベルトに換算すれば、体にどの程度の影響があるかは見当がつくんだけれど、そんな消費者いるかなあ」

 「電卓がいるね」

 「福島では涙ぐましい努力をしているんだな。田んぼのカリウムを多くすればセシウムの吸収が少なくなるとか、ため池から水をとるときは表面から取水しましょうとか。それで都会の消費者の不安がなくなるかといったら、難しいかもしれないね」

 「早く『つらいよ』が『はつらつ』に変わるといいね」

posted by ぱわふる at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【ボクとママの放射能教室】シーベルトは2つある ある臓器か、全身か

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/kyoushitsu/list/CK2012032402000102.html
東京新聞より。

「ただいまあ」

「お帰り。遅かったのねえ。もう外が暗いのに」

「サッカーの練習が長引いちゃって。ところでママ、ベクレルとセシウムってどう違うの?」

「いきなりか。うーん、いい質問ですね、と言いたいところだけれど、それは違いすぎるね。せめてベクレルとシーベルトはどう違うの?って聞いてほしかったな」

「じゃあ、ベクレルとシーベルトはどう違うの?」

「どちらも放射線や放射能の単位。多ければこわいってことかな」

「それだけ?」

「物足りないかな。それじゃもっと話してあげようか。ベクレルは、セシウムとかヨウ素とか、放射性物質が持っている放射能の強さ。シーベルトは放射線を人が浴びたときの影響を表す数値なの」

「あまりピンと来ないな」

「玄関に明かりがついているでしょ。これが豆電球だったら、少し離れればちっとも明るくない。シャンデリアだったら、相当遠くでも明るいよね。ベクレルは、電球そのものの明るさで、シーベルトは手元の明るさだと思えば、だいたい間違いない」

「だいたい?」

電球.jpg

「ベクレルはともかく、シーベルトはややこしい。シーベルトで表されるものは、本当は二つある。一つは等価線量、もう一つは実効線量。等価線量の方は、わりと単純に、ある臓器の被ばく量を表したもの。体全体を考えるのが実効線量で、放射線の影響を臓器ごとに重み付けして足し合わせた平均値のようなものね」

等価線量.jpg

「ちんぷんかんぷんだね。でも、どうしてそんなことをするの」

「体の一部だけ被ばくするときもあれば、全身被ばくするときもある。いろいろな場合に対応するためかな。たとえばヨウ素を吸い込むと、甲状腺という小さな臓器に主に吸収される。『甲状腺で八七ミリシーベルトの被ばく』っていうニュースが流れたんだけど、これは等価線量のことで、実効線量にすると三・五ミリシーベルトにしかならないんだって」

「訳わかんない」

「シーベルトって、重さあたりのエネルギーだから、軽い甲状腺で大きい数字が出ても、全身でみたらぐんと小さくなる。そうねえ、お勉強にたとえたら、等価線量は科目ごとのテスト結果で、実効線量は合計点を科目の数で割ったようなものかなあ。まあ、これは大学の放射線専門の学科で習うレベルだから、キミが理解できたら、ママの説明がよほどじょうずってことになるわね」

「大きくなればわかるようになるかな」

「シーベルトは普通、実効線量のことだけど、ときには等価線量のことを言っている場合もある。新聞でもテレビでも、どちらなのか言わないから、混乱するわね。放射線のことを教えてもらう機会があったら『先生、それは等価線量ですか実効線量ですか』と聞いてみたらどう? ロングシュートを決めたときみたいに、視線がキミに集中するのは確実だよ」

「またそれかよ」

posted by ぱわふる at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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